一階共変テンソル
一階の共変テンソルの定義
一階の共変テンソルを二階のテンソルをまねて定義してみる.
一階の共変テンソルは,以下の式で示される \( \mathcal{V} \) から \( \mathcal{F} \) への関数 \( \mathbf{T}_{\cdot} \) ( \( \mathbf{T}_{\cdot} \, \colon \mathcal{V} \to \mathcal{F} \))として定義される.体 \( \mathcal{F} \) 上の任意の \( \lambda,\mu \) およびベクトル空間 \( \mathcal{V} \) 上の任意の \( \mathbf{a},\mathbf{b} \) に対して
\begin{align} &\mathbf{T}_{\cdot}(\lambda\mathbf{a}+\mu\mathbf{b}) = [ \lambda\mathbf{T}_{\cdot}(\mathbf{a})]+[\mu\mathbf{T}_{\cdot}(\mathbf{b})], \tag{A.1} \label{eq:A.1} \end{align}
また,ベクトル空間 \( \mathcal{V} \) 上の任意の \( \mathbf{a} \) に対して,共変ゼロテンソル \( \mathbf{O}_{\cdot} \) を以下のように定義する.
\begin{align} \mathbf{O}_{\cdot}(\mathbf{a}) \,\colon = 0. \tag{A.2} \label{eq:A.2} \end{align}
一階のテンソルの加算とスカラー乗法
一階のテンソルの加算とスカラー乗算は次の式で定義される.ベクトル空間 \( \mathcal{V} \) の任意の \( \mathbf{a} \) および体 \( \mathcal{F} \) 上の任意の \( \lambda \) に対して,
\begin{align} [\mathbf{T}_{\cdot}+\mathbf{G}_{\cdot}](\mathbf{a}) \, &\colon = [\mathbf{T}_{\cdot}(\mathbf{a})]+[\mathbf{G}_{\cdot}(\mathbf{a})], \\ [\lambda\mathbf{T}_{\cdot}](\mathbf{a}) \, &\colon = \lambda[\mathbf{T}_{\cdot}(\mathbf{a})], \\ [-\mathbf{T}_{\cdot}](\mathbf{a}) \, &\colon = -[\mathbf{T}_{\cdot}(\mathbf{a})], \tag{A.3} \label{eq:A.3} \end{align}
これらの定義をみると,一階の共変テンソルは共変ベクトルと同じものといえそうである.もう少し詳しく言うと一階の共変テンソルは,ベクトル空間 \( \mathcal{V} \) の双対空間 \( \mathcal{V}^{*} \) のひとつの元である.
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